養育費算定表における収入認定
養育費算定表を使用するためには、まず権利者・義務者双方の収入を認定する必要があります。
給与所得者の方
源泉徴収票であれば「支払金額」が収入に当たります。
課税証明書であれば「給与収入」が収入に当たります。
給与明細書を収入資料として使うときには、収入は月により変動がありうることや、賞与が含まれていないことに注意する必要があります。
自営業者の方
確定申告書の「課税される所得金額」が収入に当たります。
ただし、「課税される所得金額」は、税法上の様々な観点から控除がされた結果ですので、税法上控除されたもののうち実際に支出されていない費用等を検討し、これを「課税される所得金額」に加算する必要があります。
無職・無収入の方
算定の際に無職で収入がないときは収入はゼロということになりますが、そのようにして算定すると不公平となることがあります。
そのため、就労歴、健康状態、年齢等を考慮して、潜在的稼働能力があるとして、収入を推計することがあります。
例えば、婚姻中は専業主婦をしていますが、離婚後は働くことが予想されるような場合です。
すぐに定職に就くことができなそうな場合には短時間労働者の賃金センサス(女性労働者で年120万円程度)を用いることが考えられます。
ただ、子どもが幼いときには配慮が必要であって、婚姻してから専業主婦で3歳の子どもがいるという事案で、稼働能力は存在しないと裁判所が判断した例もあるところです。
収入として扱わないもの
児童扶養手当や児童手当
児童扶養手当や児童手当は、児童の福祉の増進を図ることを目的としています。
そのため原則として収入に含める必要はないと考えられます。
実家からの援助
一時的な収入とか偶然の収入は考慮されるべきものではないと考えられます。
実家からの援助は、贈与であって必ずしも継続するものではないので、基本的に考慮されないことになります。
生活保護
生活保護は扶養義務が果たされていないときに受けられるものです。
そのため、生活保護は収入として考慮しないことになります。
相手方が収入資料を提出しないとき
相手方の不出頭等で収入資料が得られないときには勤務先に弁護士会照会等をすることがあります。
過去の収入や生活実態から収入を推計することも考えられます。
資料が得られず推計もできないときの最後の手段としては賃金センサスを利用することが考えられます。