民事訴訟の手続きの流れ
1 訴状
まず、民事訴訟を始めるためには、裁判所に「訴状」を提出する必要があります。
この訴状には、自分が相手に請求する権利があることを基礎づける事実の主張を書きます。
もちろん、言いっ放しでは水掛け論となってしまいますから、その事実が真実であることを示す証拠も一緒に提出するのが一般的です。
ただ、最初から全部を言い尽くさなければならないというわけではなく、相手の反応を見ながら必要な主張や証拠を補充していくことが多いです。
この訴状の提出先は、原則として相手である「被告の住所地」を担当する裁判所です。
もちろん、例外もありますので、詳しくはお気軽にお問い合わせください。
2 答弁書
「訴状」が裁判所に提出されると、裁判所のチェックの後、第一回目の裁判期日の呼出状と一緒に相手である被告に訴状が郵送されます。
そして、訴えられた被告は、第一回目の裁判期日までに自分の言い分・反論を書いた「答弁書」を提出することになります(通常は第一回目の裁判期日の一週間前が締め切りとなります)。
ただ、十分に準備をして作成される訴状とは違って、準備期間に限りがある答弁書については、実際には「追って認否する」とだけ記載して、詳細な反論を第二回目の裁判期日まで持ち越すことも多いです。
もしも「答弁書」が提出されない場合は、反論はないとみなされてしまって、そのまま判決が出てしまうということもあります(欠席判決)。
3 裁判の進行
「訴状」と「答弁書」が提出されると、いよいよ本格的な裁判が始まります。
第二回目以降は、反論・再反論とお互いに主張を言い合って、それに応じた証拠を提出していきます。
裁判所に行ってその場でたくさん話すというよりは、しっかり準備して書面を作成して、事前に提出したものを裁判所で確認するというイメージです。
そうして、お互いの主張を積み重ねて、関係する証拠も提出していって、争いがどこにあるのかを整理していきます。
お互いの主張が出尽くしたなという頃に、争いのポイントについて判断するための証人尋問が行われるという流れが一般的です。
そして、尋問の前にはその準備の意味も込めて「陳述書」という書類を作成して、自分の言い分を全体的にまとめた書面を提出します。
こうすることで、五月雨式に言い合って整理できないということを避け、最終的な自分の言い分をまとめた書面を出して、裁判は最終局面に向かいます。
4 和解
裁判の途中で、裁判所から、和解を勧められることがよくあります。実は、民事訴訟のかなりの数は和解で終わっています。
和解を勧められるタイミングはそれぞれというほかありません(裁判官が和解成立の可能性があると考えたときにされるとはいえるでしょう。)。
なお、最終段階である尋問が終わった後に、最後の和解の試みを行うということは非常に多いです。
5 判決
和解が成立しなかったときは、裁判所が、原告の請求が認められるか、認められないか、の判断を示します。
結論についての判断なので、例えば「分割払い」のような細かい条件とか、「遺憾の意を表する」といったような感情的なことは書かれません。