婚姻関係の破綻
法定離婚原因の一つとして婚姻関係が破綻していることがあります。
婚姻関係の破綻とは、婚姻共同生活の修復が著しく困難であることを意味します。
最後まで一方当事者が離婚を争うときには、裁判官が婚姻生活全体の一切の事情を総合的に考慮し、婚姻関係が破綻しているか否かを判断することになります。
婚姻関係が破綻した理由として当事者が主張するものとしては、虐待、暴行、重大な侮辱、不就労、浪費、借金、犯罪行為、病気、性的不能、宗教活動、性格の不一致、別居等が挙げられます。
ここで重要なことは、これらに該当するか否かではなく、これらにより婚姻関係が破綻しているといえるか否かです。
例えば、夫婦間で性格に不一致があるのは普通のことといえるので、性格の不一致のみで婚姻関係が破綻していると認められるのはよほどの場合であると思われます。
実務上破綻の根拠としてよく主張されるものは別居です。
別居が続いていること自体が婚姻関係の破綻を基礎付けるものといえるからです。
ここでいう「別居」とは、夫婦の共同生活がなくなることで、たとえば夫が単身赴任した場合や家庭内別居などは原則として「別居」には当たりません。
別居などにより婚姻関係が破綻しているといえるかが問題ですので、破綻の認定に必要な別居期間の長さは個々の事情により異なるとしかいえません。
ただ、協議、調停、訴訟をしている間に破綻の認定に必要な別居期間が進行していたということはよくあることといえます。また、当初は相手が離婚を拒否していたとしても、別居が続いていればいずれは破綻が認定されることが理解され、その結果相手が離婚することに合意するということもあることです。