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検察審査会と強制起訴

検察審査会とは
犯罪被害にあった人や、告訴・告発した人は、検察官による起訴はしないという処分に対して、検察審査会という機関に審査の申し立てをすることができます。
起訴するかどうかの判断は検察官に任されていますが(起訴独占主義)、全て検察官に任せきりとするのは不適当であり、一定程度に民意を反映させる必要があると考えられるからです。

審査の方法
検察審査会に申し立てがなされると、くじで選ばれた11人の一般市民が、検察官の不起訴処分が適切であったか審査します。
検察審査会は、検察官に説明を求めたり、弁護士(審査補助員)の助言を受けたりすることができます。
会議は非公開です。

審査の結果
不服申し立てに対する検察審査会の議決の種類としては、不起訴相当、不起訴不当、起訴相当(11人の中で8人以上の多数が必要)というものがあります。
不起訴不当、起訴相当の議決が出た場合には、検察官は、速やかに、事件を再検討し、起訴または不起訴処分をすることになります。

強制起訴
起訴相当の議決にも関わらず、検察官が再度不起訴処分をしたとします。
それに対して、検察審査会が起訴議決(11人の中で8人以上の多数が必要)というものをすれば、裁判所が指定した弁護士により起訴がなされます。一般に強制起訴と呼ばれているものです。
報道によれば、最近では、原発事故をめぐり東京電力の旧経営陣の一部が強制起訴されているようです。

強制起訴の結果
犯罪白書によると、平成29年次の検察審査会の処理件数は2274件で、起訴相当1件、不起訴不当67件、不起訴相当1895件、その他311件とのことです。
ただ、議決が出る前に起訴されたときも「その他」に含まれるでしょうから、このデータからは、検察官と民意との隔たりの程度についての結論は導けないのだろうと思います。

検察官の不起訴処分の理由には、起訴猶予(証拠はあるが起訴までする必要はないと評価された事件)と嫌疑不十分(そもそも証拠が足りないと評価された事件)があります。
犯罪白書によると、嫌疑不十分を理由としていたときの方が、再検討を経て検察官が起訴する率が低いようです。証拠評価に対する自負心から、検察審査会には譲れないと考えることが原因なのかなと推測されます。

平成21年から29年までの間、起訴議決による起訴がなされて裁判が確定した事件の人員は10人で、その中で有罪は2人とのことです。
強制起訴による有罪率の低さには驚くべきものがあります。検察官の事件見通しの精度は高く、検察審査会によるそれは低いということになってしまうのでしょうか。
(山崎)

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