政治資金規正法違反被疑事件
東京地検特捜部は、政治資金規正法違反の容疑で、清和政策研究会(安倍派)の事務所等を捜索するとともに、関係者から事情聴取をしているようです。
報道によれば、安倍派では、政治資金パーティーを開催するに際して、所属議員に課されたノルマを超えた額については、所属議員が派閥に送金せずにプールするか、派閥にいったん送金してから議員に返金されるという運用がなされていたとのことです。
そして、ノルマを超えた額については、派閥の収支報告書にも、議員側の政治団体の収支報告書にも記載がないとのことです。
政治資金規制法は、「政治活動が国民の不断の監視と批判の下に行われる」(1条)ために、政治団体の収支公開や寄付の制限などを定めています。
政治団体は、政治資金の収支報告書を総務大臣又は都道府県選挙管理委員会に提出することになっています(12条1項)。
収支報告書には政治資金パーティーからの収入についても記載することになっています(12条1項1号ヘ)。
政治資金収支報告書に記載すべき事項の記載をしなかった者や虚偽の記入をした者は、5年以下の禁錮又は100万円以下の罰金に処するとされています(25条1項2号、3号)。また、不記載又は虚偽記入の罪で有罪となるときには公民権(選挙権及び被選挙権)を一定期間停止する旨の規定もあります(28条)。
東京地検特捜部は、今後、虚偽記入罪等の要件を満たすか捜査し、要件を満たし情状が悪い者については起訴を検討するものと思われます。
捜査のポイントの一つは、政治家が会計責任者と共謀(犯罪の共同遂行の合意)をしたといえるかです。
会計責任者が収支報告書を作成しますが、政治家が会計責任者と共謀をしていたのであれば、虚偽記入等の実行者でなくてもその者の責任を問えるということになるからです。
(山崎)