親子交流等に関する法改正(2)子との交流の試行的実施
現行法下においては、面会交流調停中に、家庭裁判所内の部屋(児童室)で、試験的に親子の面会交流を行うことがあります。
今般の家族法制の改正により、そのような現在の試行的面会交流を下敷きとして、子との交流の試行的実施が立法化されました。
家庭裁判所は、子の監護に関する処分の審判事件において、①子の心身の状態に照らして相当でないと認める事情がなく、②事実の調査のため必要があると認めるときは、当事者に対し、子との交流の試行的実施を促すことができることとされました(改正後家事事件手続法152条の3第1項等)。
対象となる事件としては、例えば、①親子交流調停事件、②子の監護者指定調停事件、③離婚調停事件があります。
親子交流の試行的実施に際しては、子の心身に有害な影響を及ぼす言動の禁止等の条件を付することができます(同条2項)。
家庭裁判所は、試行的実施が行われなかったときは、当事者にその理由の説明を求めることができるとしています(同条3項)。
この規定は、同居親に実施するよう圧力をかけるために設けられたものではなく、家庭裁判所が不実施の理由を知ることがその後の審理に役立つから設けられたものというべきでしょう。