再婚禁止期間に対する違憲判決
「男性は離婚してすぐに再婚することができるけれども,女性は離婚してから6か月間は再婚が禁止されている」ということを聞いたことがありますか。
法学部の学生さんであれば,きっと一度は勉強したことがある「再婚禁止期間」という有名な制度です。
「なぜ,女性だけ再婚できるようになるまでの期間制限があるのか?」…というのが素直な疑問ではないかと思うのですが,これは出産との関係で説明をされてきました。
出産の前には妊娠の時期がありますが,例えば,離婚をしてすぐに出産した場合は,離婚する前に妊娠していたのですから前の夫が父親と「推定する」という法律の制度があるのです。
そのため,離婚した女性がすぐに再婚して,その後に出産したとすると,生まれた時期によっては,その子どもの父親が離婚する前の夫であるのか,それとも再婚した後の夫であるのかトラブルになる危険があるということで,女性だけ6か月は再婚を禁止するという制度があるということだったのです。
この「6か月の再婚禁止期間」という制度について,平成27年12月16日,最高裁が違憲であるという判断をしました。結論としては,「6か月(=180日)」という期間は長すぎるもので,「100日」を超える部分は違憲だという判断です。すると,次に「なぜ,100日は禁止されるのか?」…という疑問がわくのかなと思うのですが,これはさっき書いた父親と「推定する」期間が重ならないように計算された日数になります。
この推定の制度との関係があるので,今はまだ女性が離婚してから「100日」間は再婚できないとしても違憲ではないというのが最高裁判所の判断でした。
ただ,医療技術が発展していてDNA鑑定という言葉も普通に耳にするようになってきましたし,家庭のあり方も日々変化していますので,また将来的には判断や制度が変わることもあるかもしれません。
今回のコラムでは,違憲判決のあった再婚禁止期間という制度のことを書きましたが,再婚の場合は他にもたくさんの問題があります。
特に子どもさんがいる場合には,養育費の金額であったり,以前のコラムでご紹介した「氏の変更」という手続きも関係してきます。
再婚は決して珍しいことではありませんし,新たな良い家庭を築くということもあって良いと思います。そういった再婚という選択をするとき,法律のところでの疑問がございましたら,どうぞお気軽にご相談ください。
それでは,今後ともよろしくお願いいたします。
(弁護士 押見和彦)