弁護修習の意義
裁判官、検察官、弁護士になるためには、司法試験に受かった後に、司法修習というものを経なくてはならないのが原則です。
司法修習の期間は1年間で、その間に裁判所、検察庁、弁護士事務所において研修をしたり、司法研修所で講義を受けたりします。それぞれ裁判修習、検察修習、弁護修習、集合修習と呼ばれています。
最後に二回試験と呼ばれる卒業試験に受かると、修習は終了ということになります。
司法修習は、裁判所や検察庁によって職員(裁判官、検察官)のリクルートがされる場であるという側面もあります。裁判官や検察官でもある教官がリクルーターの役割を事実上果たしているということです。ちなみに、裁判官になるためには修習中の成績がよい必要があったりします。とりわけ優秀な修習生には教官からスカウトが入ることもあります。
弁護修習では指導担当と呼ばれる弁護士の下で、2か月の間、弁護士と一緒に行動することになります。
当事務所にも最近まで司法修習生が来てくれており、依頼者が同意してくれているときには、一緒に法律相談をしたり、裁判所や警察署に行ったりしていました。
司法修習生と事件の見通しやとるべき戦略について意見交換をしたり、裁判所に提出する書面案を一緒に考えたりもします。
修習生と話していてなるほどと思うことも多々あり、弁護士サイドとしても楽しい経験でした。
弁護士業務の中で最も気を使うことの一つが依頼者との関係なのですが、裁判官や検察官になる人が弁護修習を通じてその一端に触れておくことは意義深いかもしれないとも感じたところです。
(弁護士 阿部大介)