裁判傍聴の方法
裁判傍聴とは
裁判は公開法廷で行うと憲法で定められています。
基本的には誰でも自由に裁判を傍聴することができます。
思い立ったら準備なしに裁判所に行き、行われている事件とは全く関係ない人でも裁判を傍聴することができるということです。
裁判を公開する理由は、それにより裁判の公正と国民の信頼の維持の確保に資すると考えられているためです。
東京地裁で裁判傍聴をするときの流れ・手順
東京地方裁判所は、千代田区霞が関にある「東京高等・地方・簡易裁判所合同庁舎」内に入っています。
最寄り駅は、丸の内線と日比谷線の「霞ヶ関駅」です。千代田線の「霞が関駅」からも行けますがやや歩くことになります。
なお、東京地方裁判所の支部として、立川市に東京地方裁判所立川支部があります。最寄り駅は、多摩都市モノレールの「高松駅」です。
東京地方裁判所の建物に入るためには、金属探知器による検査とX線検査による手荷物検査を受けなければなりません。
時間帯によっては混んでいて、検査を通るまでに時間がかかることもあります。
1階ロビーの守衛ボックスにタッチパネルが備え付けられています。そのタッチパネルを操作することによりどのような事件がどの法廷で何時から開かれるか知ることができます。
傍聴する事件を決め法廷に行くと、法廷の入り口近くに事件名等が書かれた紙が掲示されていますので、再度事件を確認できます。
法廷に入ると傍聴する人のための席があります。そこに座り裁判が始まるのを待ちます。
時間になると法壇の後方にある扉から裁判官が出てきますので、起立し一緒に礼をします。
後は裁判を傍聴するだけです。
写真や録音は禁止されているのでご注意ください。
傍聴する裁判の選び方
刑事裁判は口頭でのやり取りが多いので、何をしているのかが比較的わかりやすいです。
傍聴するなら民事裁判ではなく刑事裁判をお勧めします。
刑事裁判の中でもわかりやすいものは、新規の事件であり、かつ一回で審理終結まで進むものです。
事実関係に争いがなく、追起訴というものが予定されていないときには一回で審理終結まで進むことがあります。
ただ、新規の事件か否かは開廷表からもわかるのですが、一回で審理終結まで進むかについては傍聴してみないとわかりません。後述する通り、1回結審の事件は40~60分ぐらいで終わるものなので、1時間枠で設定されている事件を選ぶのがよいのかもしれません。
なお、社会の注目を集めているなどで傍聴の希望者が多い場合には、抽選により傍聴できる人が決められるということがあります。
刑事裁判の流れ
本人確認→検察官による起訴状の読み上げ→被告人に対する権利告知→被告人による罪状認否→検察官による事件の見立ての提示→検察官提出証拠の説明→弁護人提出証拠の説明→証人尋問→被告人質問→検察官の意見→弁護人の意見と進んでいきます。
罪状認否とは起訴状に書かれた事実を被告人が認めるかどうかの手続きです。認めるかどうかでその後の手続きの流れは全く変わってくるものです。認めたときは一回で審理が終結する可能性が出てきます。
追起訴というものが予定されていたら、検察官提出証拠の説明が終わったところでその日の審理を終え、追起訴がされるのを待つことになることが多いです。
一回で審理が終結するときの審理にかかる時間は、本人確認から弁護人による意見までで、40~60分ぐらいのことが多いです。
傍聴に来ている人
傍聴に来ている方はいろいろです。
被告人の取り調べをした警察官が来ていることもありました。
中学生・高校生が先生に引率され、社会勉強のためだと思うのですが、集団で傍聴していることもあります。裁判が終わった後、裁判官が中学生・高校生を引き留めて裁判の説明をしていることもあったりします。
傍聴人のくくりに入れてよいかは微妙ですが入国管理局の職員が傍聴席にいることもあります。不法滞在になってしまっている被告人に執行猶予判決が言い渡されたときに入管に連れていくために待機しているのです。
(弁護士 阿部大介)