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犯罪被害にあったときの対応

被害申告
まずは犯罪があったことの証拠の確保・保全が重要となります。直ちに110番をするか最寄りの警察署に申告すべきでしょう。
警察への申告が遅れすぎたときには、場合によっては、遅れた理由について警察から勘ぐられてしまう可能性もないとはいえません。

詐欺(特殊詐欺を除く)、横領、背任等のいわゆる知能犯については警察は消極的な傾向があるという印象を受けます。
場合によっては弁護士に相談し事実と証拠を整理した上で告訴するという方法がよいのかもしれません。

被害者の処罰感情は起訴・不起訴の判断材料ともなります。事情聴取の中では遠慮せず率直に被害感情を伝えるべきでしょう。

示談
弁護人としての職責があるため、加害者弁護人から示談を持ちかけられることがあります。
被害者としては、刑が軽くなったり科されなくなったりしそうなことと、確実な被害弁償を受けることとの間で悩むことになります。
示談金額、示談条項等についても含め、弁護士(加害者弁護人以外の弁護士)に相談した方がよい場合があります。
示談をするときに注意すべきことは、できる限り刑事事件が終了する前に支払いを受けておくことです。示談をしても、刑事事件が終了した後では支払いがなされないことがあるからです。
なお、場合によっては、示談をしないで被害弁償を受け、領収書だけを渡すという方法も選択肢の一つです。

検察審査会への申し立て
犯罪被害にあった人は、検察官による起訴はしないという処分に対して、検察審査会という機関に不服の申し立てをすることができるという制度があります。
ただし、検察審査会への申し立てにより、証拠が足りないという検察官の判断が覆る可能性は統計的には少ないといえます。

被害者参加制度
犯罪被害者等が刑事裁判に関与する手続きとして、被害者参加制度というものがあります。
被害者参加制度では、一定の重大犯罪の被害者本人や遺族らが法廷に出て、自ら証人尋問や被告人質問を行い、検察官とは別に論告・求刑をも行うことができるという制度です。
なお、被害者参加制度とは別に、被害感情や心情などを述べる意見陳述制度というものもあります。

損害賠償命令制度
刑事裁判の判決言い渡し後に、同一の裁判官が損害賠償命令申し立てについて審理をして、被告人に損害賠償を命じることができるという制度です。
損害賠償命令制度は、通常の民事訴訟手続きに比べると、立証の負担が軽減されること、審理が簡易迅速であること、手続費用が低額であることといったメリットがあります。
損害賠償を命ずる決定には、通常の民事訴訟の確定判決と同一の効力が生じます。
ただ、異議が申し立てられた場合には、通常の民事訴訟に移行することになります。

民事訴訟
損害賠償命令制度の対象外の犯罪により被害を受けた場合には、通常の民事訴訟手続きを利用することとなります。
その際の立証手段として最も役に立つものは刑事裁判記録であることが多いでしょう。

出所情報の通知等
加害者が刑務所に入った場合に、釈放される時期、釈放された年月日等を教えてもらうことができる制度があります。
また、仮釈放等について地方更生保護委員会に対し被害者等が意見・心情を述べることができる制度があります。

弁護士の利用
被害者のための制度を一人で的確に利用することは困難なことが多いでしょう。心身への負担が過大になってしまうこともあると思われます。そのようなときには弁護士への委任を検討することをお勧めします。
各弁護士会の被害者支援委員会が相談窓口をもうけています。そちらに相談するのがお勧めです。
(https://www.nichibenren.or.jp/activity/human/victim/
whole_country.html)
一定以上の資力を有さない方には国等からの援助もあります。

(弁護士 山崎)

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