面会交流調停事件の運営モデル
家庭の法と裁判2020年6月号に、東京家庭裁判所裁判官らが発表した面会交流調停事件の新たな運営モデル(以下「運営モデル」といいます。)が掲載されています。
運営モデルを発表した背景には、特段の事情が認められない限り面会交流は行われるべきという考えの下で、特段の事情に焦点を当てすぎた運営が行われることに対する懸念があるようです。同居親の心配や不安に耳を傾けない運営は同居親に対する配慮を欠くことになりますし、そのような配慮を欠いた運営に基づいて定められた調停は守られにくくなるといえそうです。
運営モデルの大要は以下の通りです。
・審理は、①主張・背景事情の把握→②課題の共有→③課題の解決に向けた働き掛け→④働き掛けをした結果の評価という流れで進む。
・ニュートラルフラットの立場(偏りや先入観を持たず、子の利益を最優先に考慮する立場)から、面会交流を行うことにより子の利益に反する事情があるかどうかについて丁寧に聴き取る。
・聴き取るべき中心的事情は、安全、子の状況、親の状況、親子関係、親同士の関係、環境となる。
・面会交流を行うことにより子の利益に反する事情があるといえない場合は面会交流の具体的な内容の検討・調整に進む。
運営モデルは東京家裁裁判官らの了承を得ており、また、調停委員に対しては随時説明する機会を設けているとのことです。
したがって、面会交流調停事件の審理は運営モデルを指針として行われるといってもよいのでしょう。
(山崎)