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財産分与に関する民法等改正

令和6年5月17日に民法等の一部を改正する法律が成立しました。公布の日(令和6年5月24日)から2年以内に施行されることになっています。
共同親権を可能とする法改正が注目されていますが、以下の通り財産分与等についても法改正が行われています。

情報開示義務
離婚の際に一方が他方名義の財産を把握していないことがあります。
把握していない財産は審理の対象とすること自体ができなくなってしまうため、財産開示を巡って争いになることがよくあります。
そのようなこともあり、今般の法改正では、裁判所は当事者に対し、必要があると認めるときは、その財産の状況に関する情報を開示することを命ずることができる旨の規定が設けられました(改正後家事事件手続法152条の2第2項、改正後人事訴訟法34条の3第2項)。
正当な理由なくその情報を開示せず、又は虚偽の情報を開示したときは、決定で、10万円以下の過料に処するものとされました(改正後家事事件手続法152条の2第3項、改正後人事訴訟法34条の3第3項)。

請求期間の伸長
現行法上、財産分与請求権の行使期間は、離婚後2年以内と限定されています(民法768条2項ただし書)。
今般の改正により、行使期間が5年に改められました。
ただ、時の経過とともに財産分与のための資料が散逸することが予想されますので、基本的には離婚と同時に財産分与が行われるのが望ましいのではないかと思います。

考慮事項の明確化
現行法では、財産分与について、「当事者双方がその協力によって得た財産の額その他一切の事情を考慮して、分与をさせるべきかどうか並びに分与の額及び方法を定める」と規定しています(民法768条3項)。
改正民法では、財産分与について、「当事者双方がその婚姻中に取得し、又は維持した財産の額及びその取得又は維持についての各当事者の寄与の程度、婚姻の期間、婚姻中の生活水準、婚姻中の協力及び扶助の状況、各当事者の年齢、心身の状況、職業及び収入その他一切の事情」を考慮して定めると規定し、考慮事項の明確化をしました(改正後民法768条3項)。
財産分与には、①婚姻中に形成された夫婦財産関係の清算(清算的要素)、②離婚によって経済的に困窮する夫婦の一方に対する扶養の要素(扶養的要素)があると考えられています。
現在の実務では、財産分与では清算的要素が専ら考慮され、扶養的要素はあまり考慮されないといってよいかと思います。
今般の改正により、「婚姻の期間、婚姻中の生活水準、婚姻中の協力及び扶助の状況、各当事者の年齢、心身の状況、職業及び収入」として扶養的要素を考慮すべきことが明示されました。扶養的財産分与について裁判実務に変化があるのか関心がもたれるところです。

2分の1ルールの明文化
財産分与の際に、一方の配偶者から、自己の収入により財産が形成されたのであるから、2分の1ずつで財産を分けることは間違っているという主張がされることがあります。
しかし、裁判実務では、夫婦財産の取得又は維持についての寄与の程度は基本的に同等である(いわゆる「2分の1ルール」)として、上述のような主張は受け入れられないのが通常です。
改正民法は、「当事者双方がその協力により財産を取得し、又は維持するについての各当事者の寄与の程度は、その異なることが明らかでないときは、相等しいものとする。」とし、上記2分の1ルールを明文化しました。

 


【改正後民法768条】
1 協議上の離婚をした者の一方は、相手方に対して財産の分与を請求することができる。
2 前項の規定による財産の分与について、当事者間に協議が調わないとき、又は協議をすることができないときは、当事者は、家庭裁判所に対して協議に代わる処分を請求することができる。ただし、離婚の時から5年を経過したときは、この限りでない。
3 前項の場合には、家庭裁判所は、離婚後の当事者間の財産上の衡平を図るため、当事者双方がその婚姻中に取得し、又は維持した財産の額及びその取得又は維持についての各当事者の寄与の程度、婚姻の期間、婚姻中の生活水準、婚姻中の協力及び扶助の状況、各当事者の年齢、心身の状況、職業及び収入その他一切の事情を考慮して、分与をさせるべきかどうか並びに分与の額及び方法を定める。この場合において、婚姻中の財産の取得又は維持についての各当事者の寄与の程度は、その程度が異なることが明らかでないときは、相等しいものとする。

【改正後家事事件手続法152条の2】
1 家庭裁判所は、次に掲げる審判事件において、必要があると認めるときは、申立てにより又は職権で、当事者に対し、その収入及び資産の状況に関する情報を開示することを命ずることができる。
 一 夫婦間の協力扶助に関する処分の審判事件
 二 婚姻費用の分担に関する処分の審判事件
 三 子の監護に関する処分の審判事件(子の監護に要する費用の分担に関する処分の審判事件に限る。)
2 家庭裁判所は、財産の分与に関する処分の審判事件において、必要があると認めるときは、申立てにより又は職権で、当事者に対し、その財産の状況に関する情報を 開示することを命ずることができる。
3 前二項の規定により情報の開示を命じられた当事者が、正当な理由なくその情報を開示せず、又は虚偽の情報を開示したときは、家庭裁判所は、十万円以下の過料に処する。

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