弁護士のセカンドオピニオン

皆さんの知り合いの中で弁護士の方はいらっしゃいますか？
いくら昔よりも弁護士の人数が増えたとはいえ，おそらくほとんどの方は，弁護士とは無縁の生活を過ごされているのではないかと思います。大抵の場合は，何かトラブルが起こってしまった，あるいはトラブルに巻き込まれてしまったという時に，初めて法律相談などを利用して弁護士と知り合うことになります。
困ったことが生じたとき，いきなり弁護士に依頼するという方は，ほとんどいらっしゃいません。こんなトラブルに巻き込まれてしまったのだけど自分はどうしたら良いのか，今こういう状況で悩んでいるのだけれど法律ではどうなっているのか…といったことを「相談」することがトラブル解決の第一歩です。

法律相談の窓口は，様々です。役所で行われる法律相談，各地の弁護士会が実施している法律相談，法テラスでの法律相談，中には弁護士事務所のＨＰやチラシを見て相談に行かれる方もいると思います。
相談される方は，こういった法律相談を利用して初めて弁護士に接するのですが，弁護士といっても千差万別，十人十色です。法律の専門知識があるという点は共通していますが，性別や年齢，性格や話し方などは，人それぞれ本当に違います。

また，たとえ同じ相談内容だとしても，回答が人によって異なることもあります。これは，同じ話でも重点を置くポイントが人によって違ったり，限られた時間で見た資料や聞いた話が微妙に違ったりすることで普通に起こります。法律を扱うＴＶ番組でも，「この場合，損害賠償を請求できますか？」という質問で，ある弁護士は「請求できる」と言い，ある弁護士は「請求できない」と言うことがよくありますが，これと同じです。

今日，コラムを読んでくださった皆さんには，弁護士と言っても色んな人がいますし，同じ相談内容でも答えが違うということも起こることを知っていただけたら嬉しいです。
相談だけでトラブルや悩みが解決することももちろんありますが，こじれてしまって解決まで時間がかかってしまうことも現実には起こります。相談者の方も弁護士も人間ですから，もしも相性が悪い場合はお互いに辛いです。
医療の世界などでは，他のお医者さんの意見も聞くセカンドオピニオンは普通にあります。法律相談に行ったとき，最初から相性の良い弁護士に会えるのが一番だと思いますが，もしご不安があれば，別の法律相談をご利用いただくのも良いと個人的には思います。
本人の言い分を本人に代わって伝える「代理人」として，ご本人に「依頼して良かった」「相談して良かった」と思ってもらえるよう，これからも丁寧な対応に努めたいと思いますので，今後ともよろしくお願いいたします。
（弁護士　押見和彦）