ブラック企業って何?
最近よく聞く『ブラック企業』。これは一体どういうことなの?と疑問に思う経営者の声が増えています。というわけで,今回のコラムは,経営者向けの内容となっていますが,お勤めされてるサラリーマンの方も「自分の会社は大丈夫かな」ということで参考にしていただければ幸いです。
それでは,①ブラック企業とは何か,②ブラック企業というレッテルを貼られるとどのようなデメリットがあるか,③ブラック企業にならないため(成長する企業になるため)の対策について,順番にご紹介いたします。
まず,①ブラック企業とは何か。一般的に次のような企業のことをいいます。
・労働法令や慣行を遵守しない企業
・労働者を長時間働かせる企業
・パワーハラスメントで労働者を精神的に追い込む企業
・若者を使い捨てする企業
主に,労働時間の管理ができていないか,管理していても残業代を払っていない企業,従業員の心身の健康状態への配慮がなされていない企業,パワーハラスメントが発生している企業等をいいます。特に残業代については,法律上の管理監督者でないのに,“課長以上は管理職”などとして残業代を払っていない企業もブラック企業ということになりますので,注意が必要です。
では,ブラック企業というレッテルを貼られてしまうと,どのようなデメリットがあるのでしょうか。
・企業イメージの低下
・社員の健康状態の悪化
・社内全体の士気の低下
何よりもブラック企業と呼ばれると間違いなくイメージが悪くなります。企業イメージが低下するということは,取引先との関係や新規採用の面で多大な悪影響を及ぼします。
また,実際に長時間労働などが原因で社員の健康状態が悪化すれば,生産性が必然的に下がりますね。何とかするために余計に無理をして,さらに体調を悪化させるという悪循環に陥る危険もあります。昨今では労災事故につながってしまったり,本当に辛いことですが過労死に至ってしまうケースも起こっており,損害賠償請求などの訴訟も少なくありません
そうしてブラック企業ということで社内全体の士気が下がると,離職率の上昇や労使トラブルの増加などにつながり,どれをとっても何一つ良いことはありません
それでは,ブラック企業にならないように,またトラブルを未然に防止して,かつ成長する基盤を創るためには何をすれば良いのでしょうか。
一番大切なことは,「まず今の現在地を知ること」です
“みんな不満を持っていなさそうだから大丈夫”と思い込んでいるのは社長だけ,というケースが非常に多く,取り返しのつかないことになっている企業が散見されています。実際にトラブルが起こってしまう前に,社員の状況を把握したり,相談窓口を整備したりすることが大切です。労働時間の管理を改めて見直すことも良いかもしれませんね
今回のコラムでは,労働時間の管理や健康状態等を取り上げましたが,従業員を雇用する上では他にも多くのルールがあります。今何ができていて,何ができていないのか。できていないことはどのようなリスクを抱えているのか,ということを知っておくだけでも,今後の会社の成長に役立つ情報になるでしょう。もちろん,これから体制を整えるためにより詳細なアドバイスということで,社労士の知り合いも欲しいというような場合などには,当事務所と提携している社労士をご紹介することもできますので,お気軽にご相談下さい。
(弁護士 押見和彦)