退職のルール
『今,辞めてもらっては困る!君に辞められたら,会社は大損害だ!!』
もしも勤務先からこのように言われて引き留められたら…,皆さんの心は揺らぎますか?
確かに,居ても居なくても同じだと言われるのは勤めている者としては寂しいですが,引き留められる場合もトラブルが起きないわけではありません。一番最初の台詞に次の言葉が続いたらどうでしょうか?
『もしどうしても辞めるというのであれば,会社として○○万円を損害賠償請求する』
このように言われた場合は,決して焦らずにまずは契約書を見直しましょう。
その契約が①期間の定めがあるのか,②期間の定めがない(若しくは契約書自体がない)のかによって,退職のルールが変わってきます。
①期間の定めがある場合
例えば「1年契約」とかってなっている場合は,その1年間は原則として退職することはできません。この時に,勝手に労働を放棄した場合には,会社の言う通り,損害賠償を請求されるかもしれません。
もっとも,「やむを得ない事情」がある場合には,期間内であっても退職することは可能ですので,そのことを会社に伝えて相談してみましょう。
② 期間の定めがない場合
契約期間の定めがない場合には,いつでも退職を申し出ることができます。退職を申し出て2週間が過ぎれば無事に退職ということになります。この場合は,違法なことは全くしていないわけですから,損害賠償を請求される謂れはありません。
この「2週間前」という期間は強くて,もし就業規則や労働契約で「1か月前」などと定められていても無効というのが一般的です。
これが勤めている側からの退職に関する大きなルールです。これ以外にも仕事を辞める時には色々とトラブルになりやすいので,自分の中で納得できない部分がある場合や,本当にこれで良いのか不安な場合はお気軽にご相談ください。なお,雇っている側からの「解雇」はまた別のルールがありますので,別の機会にコラムでご紹介いたしますね。
それでは,今後も引き続き様々な制度をご紹介していきますので,よろしくお願いいたします。
(弁護士 押見和彦)