インターネット・オークションのトラブル
最近では、インターネット・オークションは誰でも気軽に利用できる手段となってきています。一方で、顔が見えない取引である分、不安も感じることもあるのではないでしょうか。
そこで、今回は、例として、オークションで中古の物を購入したところ、送られてきた商品に欠陥があった、しかしもともと「ノークレーム・ノーリターン」という約束であった場合に、売り主に責任追及ができるのか、という点を考えてみたいと思います。
「ノークレーム・ノーリターン」という約束がされている場合であっても、必ずしも、その後、売り主に対して何も言えなくなるというということではありません。
何か商品に欠陥があるにもかかわらず、それを売主側がそのことを知っていて告げなかったというような場合には、民法上「ノークレーム・ノーリターン」の効果を認められていないので、責任追及をできることになります。
もっとも、インターネット・オークション上で多く取引される中古品の場合には、新品の商品に比べ、多少品質が劣っていること自体は予想されますので、実際に責任追及できる欠陥というのは、通常予想できないような重大なものにある程度限られてくるでしょう。
なお、このような事例で、現状では、オークション事業者自体への責任の追及は難しいのが実態です。
また、相手に責任追及するにしても、その請求先が分からないと責任追及できない等の難しい問題もありますが、もし、インターネット・オークションで納得いかない思いをされたという場合には、一度法律家等に相談されることをおすすめします。
(弁護士 中村恵)